冷えとり健康法について/治療室Pieria<ピエリア>

冷えとり健康法について
以下の記事は、2006年夏にブログに掲載したものの転記です)

当治療室では「冷えとり健康法」をおすすめしています。 これは医師の進藤義晴先生により提唱されたもので、万病を治す冷えとり健康法というロングセラーがあります。病気の原因及び自己治癒力を目覚めさせて治癒に導く方法を、東洋医学の知識を折り込みながら一般の方から治療家まで全ての方にとてもわかりやすく記述してありますので、ご一読をお薦めいたします。
これは一過性のブームで終わるような巷の健康法とは根本的に違います。言ってみれば生活そのもの、生き方そのものの見直しを促すものです。健康状態とはその人の暮らし方、食べ方、考え方、生き方の歴史の反映だからです。 私自身がこの健康法を10年以上続けています。私事ですが幼少時から病気がちで体力がなく、14歳で自律神経失調症と診断されてから、生きることは常に体調不良との戦いでした。会社員時代に甲状腺疾患のため2ヶ月近く欠勤したことがありますし、すぐに風邪をひき、ひどい頭痛持ちで鎮痛剤が手放せず、普通に体調が良いという状態を殆ど経験したことがありませんでした。 様々な健康法を試した時期もありましたが、本当に必要で大切なことしか私はやりたくないし、そうでないことは続かないのです。そんな私がこれを10年以上続けている(というか、やめることを考えられない)ことは画期的ですし、まして今やこの私自身が治療家として人様のお身体を診ている、これは我ながらすごいことだと思うのです。 ひとえに「冷えとり」のおかげですし、身をもって経験しているからこそお薦めできます。この「冷えとり」についてを何回かにわたってお伝えしたいと思います。

冷えは万病のもと…誰もが冷えている
「冷えは万病のもと」と古来から言われています。古来から言われていることは大抵真実だと考えて良いと思います。「でも私は冷え性じゃないから大丈夫!」という方も多いと思いますが、冷えがない人はいません、と断言します。 「手足が冷たい」「寒がり」「冷え性」などの自覚があるものだけが冷えではありません。多分二足歩行が始まってからの人間の宿命ではないでしょうか、上半身より下半身が冷たいのが冷えです。いわゆる「気が上がっている」「冷えのぼせ」の状態です。冷気は足もとに溜まりますので普通にしていたら誰もが冷えますし、疲れると余計に冷えます。そして厄介なのは気づかない冷えです。
手足がほてる、ふとんから足を出して寝る、靴下を履くのが苦痛、お風呂は熱めでカラスの行水、暑がり、のぼせる…これらは全て重症な冷えなのです。冷えがない人はいませんが、人間の身体には偉大な寛容さと知恵があり、冷えにある程度慣れることができます。更に恒常性を保とうとする知恵により、あまりに冷えてくると自ら熱を発するしくみがあります(陰虚内熱といいます)。これがほてりで、ほてりやのぼせがある場合は冷えがかなり進行している状態だと受けとめてください。

食べ過ぎが冷えを加速する
冷えによって何がおこってくるかというと、循環障害です。いわゆる「血のめぐりが悪い」ということです。冷えによって血管は簡単に縮んだり閉塞します。それによって手足などの末梢や内臓の循環障害が起こり、正常な働きができなくなります。循環障害の形は個体差が大きいため、障害が進んで発症する時は、痛みや発疹や自律神経症状、様々な炎症そして腫瘍の発生、代謝障害や免疫異常などの様々なかたちをとり、多様な病気が生み出されるのです。
正常でなくなるということは本能が狂って異常な働きをするのですが、飲食の適量がわからなくなって食べ過ぎる、ということがよくおこります。風邪をひく前に異常な食欲が湧くことがありませんか?それは機能低下した消化器が食べ物に頼ろうとする異常な動きですが、結局は食べたものを消化する力もなく身体に負担がかかって風邪に至る場合が殆どです。 食べものにも身体をあたためるものと冷やすものがありますが、どんなものでも食べ過ぎると冷えを招きます
そして飽食の時代と言われる現代、大抵の人が食べ過ぎています。消化に使われる体力は大変なものです。本当に具合が悪くなると食べられなくなるのは、消化器を休ませて全身の回復に体力を充てるための身体の知恵です。それを「食べなきゃだめ」という固定観念から無理に食べると、胃腸や肝臓など消化器は疲弊して働けず、未消化物の生み出す毒素が更に血管や細胞を傷めて循環障害が進み、血中脂質も多くなって血液の粘度もあがり、余計に冷えがたまるという悪循環となるわけです。 東洋医学的に血は気とともに流れますので、冷え=気の滞り、と言えます。鍼灸は気の流れを整え、正常な働きに導く治療をするのです。

それから心の乱れというもう一つの厄介な冷えがあります。これは東洋医学の病因で七情の気と言われる感情の乱れですが、進藤先生は「傲慢」「冷酷」「利己」「強欲」という4つの我執を挙げています。どれが強いかによって傷む内臓が違ってきます。心の乱れの影響はとても強く、いつも穏やかな感情でいることは本当に大切なのですが、まず感情を正すよりも身体からアプローチするほうが容易なため、身体の冷えとりから始めます。

以上、あまりにも大ざっぱに書きましたが、どんな病気や症状でも共通の原因はこれです。詳しくは書籍をお読みください。 進藤先生は、「冷えとり健康法の5つの法則」として、

頭寒足熱
腹七分目
心穏やかにして
病毒はすべて出し
余計な心配はしない


としています。「万病を治す」ためにたったこれだけなのです!全ては古来から言われていて、とても日常的なことです。真実とはいたってシンプルなものなのです。 「デトックス」という言葉はすっかり定着しましたが、病気は冷えによる毒や邪気が溜まった結果として起こってくるもので、冷えをとり病毒を全て「毒出し」する生活をしていれば人間の身体の偉大な知恵=「自然治癒力」が働いて自然に「治る」ものです。「治す」ものではありません。ましてや人に「治してもらう」ものでは決してありません。 要は自分の力を信じて、日常の生活をいかに意識的にしていくか、ということに尽きるのです。 以降は具体的な方法をご説明します。


1.靴下の重ねばき
2.半身浴
3.食について
4.排毒と瞑眩
5.心の冷え
6まとめ


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