冷えとり健康法3:食について/治療室Pieria<ピエリア>

冷えとり健康法3:食について
以下の記事は、2006年夏にブログに掲載したものの転記です)


写真は東城百合子先生の玄米菜食と健康料理-食卓からの健康改革。本当に自然の力をいただく食養の活動を長年続けていらっしゃる東城先生の著作は、どれも心にひびくものです。

さて、食べ過ぎと冷えとの悪循環について、最初に書きました。 人は食べなければ生きていかれないと同時に、食欲とは人間の三大欲の一つで大きな快楽を伴うものでもあり、グルメ道など極めていけばきりがないもの。でもまずは「身体を養うもの」であるという、最も基本的なところに立ち返る必要があります。





何を食べるか?
食べ過ぎないことが大前提ですが、「何を食べるか?」これはとても大切なことです。以下は身体に良い(身体をあたためる)食品と悪い(冷やす)食品の一覧です。 進藤先生の冷えとり2冊目の著書医者知らず「冷えとり」で完全健康人生は見開き2ページで1テーマが述べてあり、字も大きめで読みやすい本です。このP44をもとに若干補足いたしました。

身体に良い食品(温める性質:全体の95%)…天然の食品、生命力のあるもの
精製、精白していないもの:玄米、玄麦、粟、ひえ、天塩、粗糖、黒砂糖など
水面下に生えるもの:海藻類
地面の下に生えるもの:根菜類、いも類、ねぎ・にら類の白い部分など 豆類、大豆食品、ごま
干したもの(天日干しが良い):干物、干魚、乾燥野菜、干きのこなど
塩を加えたもの:漬け物(自家製)、塩漬けやみそ漬けの野菜・魚・肉
酒以外の発酵食品:味噌、醤油、納豆、酢、ぬか漬け、チーズ等(全て無添加であること)
加熱調理した野菜
お茶類

身体に悪い食品(冷やす性質:全体の5%)…化学的・工業的に精製、加工した食品
・精製食塩 ・白砂糖 ・白米 ・精製漂白小麦類
・化学調味料(だしの素など)・食品添加物 ・お菓子 ・清涼飲料水(コーラやジュース等)
・牛乳 ・卵 ・乳製品(アイスクリーム、乳酸飲料等) ・動物性脂肪(肉や魚にはレモン汁を少々かける)
・地面の上に出る植物:菜っ葉類等(加熱する)、生野菜(しょうゆを少々つける)、果物
・酒 ・たばこ ・医療薬 
温める食品も食べ過ぎると冷やす性質に変わる。食品の温度は関係なく、冷やす食品は野菜以外は加熱調理しても性質は変わらない。冷やす食品は、かくし味程度(5%ほど)摂る。

これを見ておわかりになると思いますが、つまりできるだけ自然に近いものが良いわけで、昔ながらの製法、農法のものが良いのです。更に「身土不二」の考え方で、その土地でとれたものや、旬のものをいただくことは、自然の一部である人間として大切なことです。結局は日本古来の食事がとても良いという結論になります。
そして大地の力がいっぱいの食材できちんと作った食事は、たとえ素食(粗食ではなく)でも本当に美味しく、身体が喜んでいるのがわかります。

私事ですが十数年前に基本は玄米食に切り替えました。でも「無添加」の文字を見ると少し安心して市販のだしの素や、めんつゆなどはつい使ってしまいますが、普通の醤油にも砂糖は入っているんですよね。。お総菜も時々買うしパンやパスタも好き、いただき物で練り物などの加工食品も多く、やはり砂糖や精白小麦、添加物をいつのまにか摂取しています…。意識はしていますが、ある意味現代の自然の一面と受けとめるしかない部分もあります。 そして一番の誘惑はやはり甘いもの!こればかりはどうも…(汗) 我慢することのほうがストレスの毒が溜まる感じがするので、どうせ食べるのでしたら少量でも良いものを楽しくいただきます。アイスクリームならハーゲンダッツのミニカップ半分とか^^; お菓子類について言い訳というか私見ですが(汗)、会食の場とか、好意の頂き物とか、職場などで出回るお菓子とか、拒むと波風が立つようなものは、私は頂いたほうがよろしいのではないかと思います。あれは駄目、これは駄目と目くじらをたてることのほうが、自分だけではなく、周囲にもいい影響を与えませんし、感謝して「悪い影響はすみやかに体内から出ていってください」と心の中で祈りながらいただくほうが、ずっと自然ですし楽しめて良いのではないかと思います。

「腹七分目」を目指そう!
食べすぎの害については初回で書いたので再説することはいたしませんが、太古の昔から「満腹になるまで食べろ」という養生訓などどこにもなく、「腹八分目」というのが定説です。冷えとりでも最初はそうでしたが、最近は「腹七分目」を提唱しています。 これがまた難しいことです。特に急いでガツガツ食べていると、この七分目ラインなど一体どこだったのかわからず、あっというまに十二分目くらい行ってしまうものです(汗)
ゆっくりゆっくり咀嚼しながら食べて、あぁあと少し食べたいなぁノというところでやめる、という感じですが、はっきり言って相当難しい! 半身浴はお風呂に入れば良いし、靴下は履けばいいだけですが、本能そのもののことを「やりたいけど敢えてやめる」というのは大変な努力を要します。でも出来ないからといって諦めたり、そんなのできるか!とヤケになって敢えて沢山食べたり、そして結局食べ過ぎたことを悔やむような生活をしていると、最も身体に毒を溜めます。ダイレクトに心の乱れにつながるからです。
まずはできるだけマインド(頭)を黙らせること。これが食べたい!という食欲は大抵頭からではありませんか?そうではなくて、まずは深い呼吸をし、自分の「胃袋」はいったいどのくらい食べるのが一番いいのか?を落ち着いて自分の身体に問いかけることが大切。そしてゆったりとした気持ちで、とにかくよく噛むことです。そして食べ物が口の中でお粥状になるくらい(玄米だと200回位)噛んでいると、胃腸などの消化器の負担はかなり減りますし、更に唾液腺からパロチンという「若返りホルモン」が分泌されるのだそうで、これも注目です。そしてゆっくりゆっくり咀嚼して食べていれば、脳の満腹中枢に指令が届いて、自然に箸を置きたくなるものなのだそうです。(その境地に達したことは、私はまだありませんがノ笑)

「不足」はあえて気にしない
そして10数年この生活をまがりなりにも続けた実感としては、一般的な概念の「栄養素」の「不足」は殆ど気にする必要はない!ということなのです。勿論成長期のお子様などはまた別だと思いますが、「不足」に思う感情は、怖れにつながりやすいこともあります。 マスコミが健康のために良い食材を報道するとあっという間に売り切れたりしますが、健康不安を抱える現代人の怖れの心理をつく罠があるように感じます。それよりも「食べない」で消化器を休ませる選択肢もある、という常識にとらわれない価値観がこの飽食の時代において大切だと感じるのですが、そんな報道をしても商業ベースで誰も儲からないので、報道されないだけだと思うのです。 古来からの日本人が素食で大きな仕事をしてきたように、家庭科で習ったような栄養素が揃った献立でなくとも、少量でもきちんと力のある自然の食材を選んで食べていれば身体はいかようにも力を生み出します。身体=自然の力をもっと信頼していいと思います。
栄養不足などを気にしてサプリメントを摂ることが流行っているようですが、これこそ「化学的・工業的に精製加工した食品」の極みではないですか!私はどうもサプリメントを身体が受けつけません。勿論必要な状態の方もいらっしゃるのかもしれませんし、いいものもあるのかもしれませんが、不自然さばかり感じてしまいます。 それほど今、食べ過ぎや不自然な食品の悪影響で、消化器に負担がかかっている方が多すぎるのです。本来のご自分の力を引き出すために、余計なものを摂ってほしくない。これは治療家としての実感です。

ちなみに私は普段の食事は本当に素食で、特にお昼など短時間ですませなければならない為、無農薬玄米ご飯をかるく一杯にすりゴマとじゃこをかけたもの、梅干しか漬け物、納豆、のり、(もしあれば味噌汁とかおひたし)普段はこれで充分ですし、とても美味しいです。もともとそれほど胃腸が丈夫ではなく、午後の仕事を考えると負担をかけたくないのです。 でも友人との会食や外食などでは楽しむことが大切だと思うので殆ど制限しません。また週1回家族と食事をしますが、母は私がいる時だけ肉を料理するようです。私も週1回食べれば充分なので、肉を普段は殆ど買いません。そしてそれでも胃腸の疲れを感じる時は、身体が食べないでと言っているのですから、調整のために一食抜いてみます。超プチ断食という感じですが、かなりお勧めです。 特に会社や仕事で遅くなってから、栄養が足りないかも?という怖れの混じった気持ちから頑張って料理をして、深夜にこってり沢山食べるようなことはやめたほうがいい(実は昔やってました…翌日のお弁当にするためでもありましたが)。疲れますし、時間も勿体ない。空腹だったら軽くお茶とお漬け物とか、お豆腐くらいを食べて、ゆっくり半身浴でもしたほうが疲れがとれると思うのです。(もちろん個人差はあると思いますがノ)

以上、食については個人が試行錯誤してペースをつかむしかない部分が大きいですが、敢えていろいろ書いてみました。


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