冷えとり健康法6:まとめ/治療室Pieria<ピエリア>

冷えとり健康法6:まとめ
以下の記事は、2006年夏にブログに掲載したものの転記です)

写真はシルクの靴下や下着など、冷えとり用絹製品の数々です。(

ディスプレイが下手ですみません…。)

さて、前回とりあげた進藤先生の著作「万病を治す「冷えとり」生活療法-冷えは万病のもと」の帯に、「冷えとり」養生法7つの法則として、1)半身浴、2)靴下重ね履き、3)腹七分目、4)他人本位に考える生き方、5)下に厚く上に薄く着る、6)絹を着る、7)腹式呼吸をする、とあります。殆ど述べてきたことが多いのですが、4と7とその他について以下に補足いたします。

心の冷え補足
「他人本位に考える生き方」…これはちょっと誤解を招くかもしれない?と思いましたので補足させていただきます。他人本位とは、自分さえよければ良いという自分本位な考え方ではなく、常に周囲の幸せを考えて生きることです。それは問題ないのですが、 「私は今までずっと自分のためではなく人のため、家族のために生きてきたのに病気になったわ!!」 と思う人がいるのではないかと思ったからです。 特に家族のために気を配るお母さん、主婦の方で高度経済成長時代に働くご主人を支えたような方など、子育てをして家庭を守り、更にご両親の介護に明け暮れるような生活で「自分のことは脇に置く」癖がついてしまっている方は多いと思います。 それは大変な役目ですし、誰かが中心になってやらなければならない尊い仕事です。それをきちんと受け入れていらっしゃり、家族もそれを感謝しているという関係が成り立っていれば良いのですが、それを受け入れるために「自分で自分を殺してしまった」方、不本意ながら自分の可能性を諦めてしまった方は、その抑圧された生命力が象徴する病気、特に自分で自分を攻撃するような自己免疫疾患や、元々は自分の細胞であるはずのものが変異して生命を脅かす癌などになりやすいと感じます。
この傾向は仕事に依存しているような仕事人間、それも仕事を通して自分を活かすよりも、仕事の奴隷になってしまっているような方が衣食住が乱れた時などにも見受けられます。

「私はこんなに自分を犠牲にして尽くしているのに認めてもらえない!!」という憤りを意識上に持つ方もいらっしゃいますが、抑圧された感情は意識下となり、よもや自分が怒りを抱えているなど夢にも思わず、意識されるとしたら漠然とした悲しみのような感情に化していることが多いです。 あなたは自分の力を封じ込める必要はないよ、と言われても多分本人は何のことだかわからないでしょう。
自己免疫疾患や癌は腎と関係するので「恐れ」を持っていて、自分で封じ込めた力に意識下で怯えていたりします。恐れは本当にネガティヴな感情で、更に隠されているものほど影響が大きいのは世の常です。今更「自分自身として生きていいよ」と言われても、抑圧された力のベクトルを反対方向へ向けることは非常に恐ろしいのです。そして実際そのような自分の「影」に向き合わずに、家族や周囲に合わせる生き方のほうが、責任を負わなくていいので楽なのです。でもどこかで理屈ではない空しさがあり、それがブラックホールのような心の冷えとなり、身体は蝕まれていくのです。 癌は勿論、リウマチや膠原病などの自己免疫疾患が治りづらいのはこういう一面があるからだと思うのです。

でも決して治癒は不可能ではありません。むしろ隠された自分の力に気づいてそれを正しい方向へ転換できた時、そのパワフルさに驚くと思います。 くれぐれも自分で自分を犠牲者や被害者や奴隷にしないように!と思います。
とどのつまりは病気とは心の歪みです(上記の著書p42)。無意識で犠牲者を演じていることも、立派に心の歪みなのです。 他人本位とは自分を殺すことではなく、自分も他人をも尊んで活かすことです。あなたは皆のために、皆はあなたのために(one for all, all for one)助け合って喜びを分かち合うためなのです。
ですから個人は責任を持って自分を大切にし、自分の力を発揮しなければならないのです。そのためにはまず自分と向き合い、自分とその現状を明晰に見ることです。怖がって目を背けたり、依存したり、誰かのせいにしている場合ではありません。重ねて言いますが、自分を尊ぶことは個人の責任です。
(私自身自己免疫疾患に罹ったことがあるため、その経験もふまえて書きました。)

腹式呼吸は不可欠
何度も引き合いに出して申し訳ないとは思うのですが、私の患者さんで重症の坐骨神経麻痺の方は腹式呼吸が出来ません。 非常に身体の大きい人なのですが、いくら練習しても仰臥位でも全くお腹に息が入らないのです。いつも胸式の浅い呼吸で、落ち着きのなさと相まって完全にパニック状態の呼吸を長い年月続けています。これでは下半身に全く気がいかず、上半身の大きさを考えれば支えられなくなってしまうでしょう。病気だからこういう呼吸だとも言えますが、こういう呼吸をしているから病気になった、とも言えます。 それほど深い腹式呼吸は重要なのです。
ゆったりと深〜い呼吸をしながら心配したり怒ったり絶望したりなどは至難のわざですから、心の冷えをとるための大切なポイントです。呼吸は24時間しているものですし、人と地球と宇宙をつなぐ大切なインターフェイスです。これを意識的に改善していけば、飛躍的に身体は変わります。是非意識してみてください。何しろタダです!(笑)

変化しないものはない 手放し、循環させる
衣食住の補足ですが、住環境の冷暖房は極力弱めにすること。エネルギー消費の点からもそうすべきですし、冷えとりをしていると暑さ寒さにそれほど影響されなくなります。それから、室内の温度を均一にするために扇風機を使ってサーキュレーションするのがオススメです。この夏、治療室では小さな扇風機を床から上に向けて回し冷気を上に上げていましたが、猛暑の日中でも29度設定で充分でした(家屋の形態にもよります)。冬は高いところでサーキュレーションし、暖かい空気を下に降ろすといいです。 何事も循環させることは大切ですよね。気も血も水も体内できちんと循環してこそ健康に近づきます。同じようにお金も物も停滞させずにどんどん循環させることです。呼吸と同じで、まずは出さないと入ってきません。
あとは何度か延べたように、「瞑眩の症状を一切心配せず、薬で抑えず排毒に徹すること」(これも手放しの一つ)をしていれば、身体は自然と治っていくはずです。

最後にもう一つだけ。「治癒」…これはとても大きな変化がその方の中で進行することです。そのエネルギーはご本人の自然治癒力以外の何ものでもありません。治療家の役目はそのエネルギーの稼働スイッチが入るきっかけを提供することだと考えています。 治りたくない方などいらっしゃらない筈なのですが、実は無意識で治りたくない心を持つ人は案外沢山いらっしゃるのです。上記したように自分を犠牲者にさせ続けたい人など、変化したくない人です。

身内の話が一番出しやすいのでしますが、私の母は慢性関節リウマチという自己免疫疾患を30年以上患っています。あらゆる手を尽くしてきたのですが、冷えとりだけは薦めてから本人が実行するまでに10年以上かかりました!そんな面倒なことは嫌だ、身体がキツいのに靴下の洗濯が大変だ、半身浴も靴下も気が狂いそうになる(これは重病の典型的発言。冷えが極まり足がほてっているからです。)などなど、あらゆる文句を言い続けて決してやろうとしませんでした。私が靴下をプレゼントしようとしたら本気で怒られたこともありました。「治りたくないんだったらいいけど」と言ったら余計怒ってましたが…(笑)
母の名誉のためにも書きますが、非常に献身的な母親であり妻であり、その身体で社会的にもボランティア団体の中心で長年活動を続けている、まさに「献身」を絵に描いたような人なのですが、当然ヘトヘトです。立派なことではあるのですが、なぜそうなるのかという自分の影に向き合っておらず、治りたいと言いながら治りたくない人の典型です。
でも宇宙の中で変化しないものなどありません。治りたくない心はあっても、治りたくない身体はないですし、心が変化すれば身体も必ず変化するものですし、身体の変化から心が変化することもあります。
きっかけが何だったか忘れましたが、結局家族全員(私、父、弟、義妹)が必要に迫られて冷えとりをするようになると、周囲に合わせる性格から流れに逆らえなかったのか、最近靴下を重ねるようになり、半身浴をして、お米を玄米に変えようかなと言っています。これからも時には怒らせたりしながら(笑)、変化を促そうと思っています。

以上、冷えとり健康法について長々と書いて参りました。勿論靴下を重ねなくても一生健康でいられる人も沢山いらっしゃることは事実ですが、治療家として、それ以前に患者としての経験から是非一度きちんと書いておきたかったのです。読んでくださった皆様、ありがとうございました。


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